このまま昼間がすっ飛ばされて夜になったら困るな

眠りに就けば

昼間がいろんな事情で忘れられる

昼間は朝や夜と同じやうに大事だと云ふのに

ジャンケンポンをしてゐる隙間にどっかへいってしまふ

まったく油断も隙もない

1965辻晋堂「目と鼻の先の距離について」

 

高いところにゐる友人は摩天楼に

玻璃がきらきらして

切株に腰を掛けて

いや彼は縄文人みたいに奥深い眼をして

言葉は百六十万年前に生まれる

だとしたら人類の一人は摩天楼に上り木の株に腰を下ろし

「ニイハオ」と木の実を齧る

 

平穏で焦ることが無ければ

永遠を

もう少しで捕まえかかるのかな

 

倉石智證