風がひゅうと鳴って

可笑しいな

なにか知らせかな

畑の土の上になにか絵文字を描いてゆく

 

郵便配達夫だったらいいのに

今朝は新聞配達夫だ

広告収入だね

風がひゅつと哭いて

やな子だね

泣いてばかりちゃんと食べなかったりして

どうしても村境から出て行こうとする

2024,3,22オーガベン『こころの宇宙』

 

夜中ならば雨が降るの前に広告を折り畳んで

山際まで

そこなら風もおさまるだらう

ブルンブルンと腰をゆする

いよいよ賢治さんのお出ましだね

長いコートの裾には雨だれが滴る

 

あちらのお国では多くの不幸なことがあってね

とっても幸せが追い付かない

風がひゆっと鳴いてね

なにかあったのかな

郵便ポストに

そっと便りを置いてゆく

 

倉石智證