パステルが顔の裡に漂い泛ぶ

翠の女

そうそう、風の類だ

ヴェランダから不意に入って来て後ろに抜ける

なんと云ふここちよさだらう

朝から、だなんて

1985Victoria Trunova『Gardener Girl』

 

雲が途方もなく青空にひろがってゆく

この元気よさを背中に背負って

汗びっしょりのままプールに飛び込む

長い夏の休暇があったはずなのだが

あすこには翠の女

翡翠にプールサイドで耀いてゐる

 

プールの底ゐには一蹴りごとに水の涼しい縞々が揺れ動き

パラソルの下、

わたしのいい女は手を振ってゐる

陽の光に、

風だ

プールいっぱいの夏

 

倉石智證