思索する時、

と云ふものがある

時が思索する

たとへば思索する蜘蛛の絲

風が織り上げる

あぢさゐについて云へば

色変化が天から降りて来る

しずしずと

ずいぶん細やかな

とてもしめやかに

取り囲む緑のデテール

もはやじゃまだてするものはないと想ふ

するとまたあすこには思考が在って

時ならず無造作に棄てられて在って(花殻)

やがてそれらは萎れてゆく

苦しいのかと云へば

そんなことは無い

ただ無性に驚いてゐる

 

倉石智證