上京。

単身赴任。

田舎の十薬と新宿の十薬。

/富士は未だ雲に隠れし雪の峰

/釈迦堂に寄り植栽を見て中央道

/ドクダミは可愛さうだ十薬と呼びたし

/勝頼の無念 緑に見え隠れ

/オオキンケイ地を席捲す夏の雲

/茅花(つばな)咲くその銀色のザンバラに

/山深む翠巒(すいらん)将に動かんとする

/夏ツバメ覆面パトカーまっしぐら

/オオキンケイ丘上ったり下ったり

/山桐のむらさき偲ぶ過客かな

/都庁下欅のお宿取り払われ紫陽花花の色とりどりに

/王者ゆく梅雨の晴れ間やメルセデス

/夏雲や出掛けたし多摩のモノレール

/ETC期限近づく夏ツバメ

/小仏や緑緑に雲を帯び

/永福や欅通りを下に見て

/高井戸で下りろ下りろとせっつかれまだ道遠し内藤新宿

「アヤメ咲く内藤新宿馬の糞」江戸時代は宿場に馬が繋がれ。

/或る家のやまばうし咲き夏や來る

/渋滞をAIお嬢梅雨の寒む

/とーさんはサツキを飾る宿(ジュク)の家

/法務局みんなカフカや梅雨湿り

「登記」───経済の実質はみんなここが握ってゐる。

ところが何が行われているのかようわからん(笑)。

会社の『重任登記』の件で。

待たされるなぁ。

まるでカフカ的だ。

新宿の十薬。

 

倉石智證