最期の芍薬。

ば様の散髪。

義妹の誕生日。

深大寺の薔薇園のこと。

/芍薬の一期一会の日和かな

/芍薬の仕舞ひと咲いて一期かな

/絹さやの炊き込みご飯誕生日義妹に捧ぐ卵散らして

/嫌われてテーブルの上蛇苺

/毛蕊花(もうずいか)生の歓び臺立ちぬ

/毛蕊花棹立ち初めぬざわめきぬ

/ジャガイモの花にうれしき蝶立ちぬ

/花殻を取りて取りてと花の末

/杜若の花の行列まだまだと

/絹さやのさやさや蔕(へた)の蒼きかな

/傾眠に醒めて蔕取るばーさんにまだ夢の中絹さやの蔓

/南瓜さん芽立ち蔓立つ行処かな

/摘果して林檎の粒を数へ見ん

/水あげて後はそしらぬ梅雨の候

/梅雨の間や晴れたりそして曇ったり

/きみたちは今畑中や青き嗅ぐ

/初夏の風ばーさんに髪揃え

/ばーさんに散髪うれしおぼこ顔みんなここから産まれて来たの

/ばーさんを抱えてテーブル前後ろムカデに廻るリハビリの声

唄はいつもイチニイチニ「♪徐州徐州と人馬は進む」、と軍歌。

/深大寺に蕎麦喰ひにゆく薔薇の花

/蕎麦は未だ薔薇に佇むオヤジかな

/薔薇の香に酔ひてオヤジの二歩三歩

/深大寺百万本とUKRAINE

/バラの花薔薇(そうび)と呼べばなまめいて

/バラ園の園丁はどこ影法師

 

倉石智證