新聞を広げる

クシャ、kushaかもしれない

見ろと云ふ

為替の図表が上を目指してゐる

空は晴れで真っ青である

音が無音に感じたころ

玄関の外の道をSSが奔って行った

晴れ、無風

消毒日和になった

無数の虫たちが殲滅される

 

新聞を広げろと云ふ

逃げろ逃げろと云わんばかりに

ガザはいい天気で

子どもたちも大人も虫のように蠢いているのが見える

ペイパーの外は無音で

とても平和だった

 

新聞紙には採れたての山独活をくるんで包んだ

冷蔵庫のなかはもっと静かで薄暗かった

平和っていいね

みんな固唾をのんで見入ってゐる

井上道義指揮

ショスタコーヴィチ『交響曲第13番』