芍薬の牡丹の後を追いかけて───
そして単身上京。
/小菊小菊風に愛らし小首かな
/穴開けて南瓜の葉っぱウリハムシ
/芍薬の牡丹の後を追いかけて
/芍薬の玉結びゆく蟻の午後
/ダリア育つこのっくらいと指の幅
/飛び込んで翠の風に中央道藤野辺りでまず一休み
/絹さやのお指のほどの緑かな
/口中の翠芳し新茶かな
/門柱の足下マツバボタンかな
/牡丹散って芍薬の花去年今年
/畑に下り絹さやさやと朝餉かな
/菜の花の黄金週間明日まで
/勝頼のあすこら辺り木の芽鬱
/歩数計の秋めいて山夏めいて
/じゃがいもの畝の高さや花芽つけ
/にぎにぎやのんのの神様翠風
/お喰いだれ滝の如しと云ふ勿ればばにうれしい独り養ひ
/ふる里は花在る花をお江戸まで活けてなむなむ不孝を詫びる
/白躑躅朝陽に在れば手を合わす
倉石智證