眼鏡屋さんに寄ると

ドラッグだなんてなんかお医者さんみたいだな

街道の脇はお隣のどこかが回転寿司で

眼鏡屋さんに寄ると愛想のいい執事がすぐに出て来て

慇懃に挨拶をする

いいねこのクラッシックミュージックは

西日が奥深くまで差し込んで

でもどういうわけかお寿司のことばかり気になった

真面目にならないと直りませんよ

眼の端を光らせて奥の部屋へと消えていったかと思ふと

すぐに見たこともない笑顔いっぱいで眼近く現われて

フレームをあれこれ自由に曲げたり伸ばしたりして

ありゃあこれはマジックだ

執事はどこへ行ったと

ひと悶着すると

またすぐに眼の前に現れて

いろいろな手品をやって見せる

 

どうでせう

とすぐにぼくの顔にじかに顔を寄せて

ワンツウスリーでぼくの眼鏡どころか顔を引っぺがす

ゆるゆるとぼくは見知らぬ私となってお店を出る

執事は愛想よく魚を口にくわえて

またいつでもお気軽においでくださいとおべっかを

ぼくはつくづくお寿司を食べそこなったのを心から悔やんだ

 

倉石智證