どなにふうにしても

どうしても自分の腹なんだ

これは出てふくらんで

尻も出てふくらんで

どなにふうにしてもそれは世間に目立って

バス停に並んでいたら

後ろがつっかえた

みんな知らない風をして

ふりをして目配せをするが知らない同士で

やさしいなぁ

風船のふうに膨らんで

破れると水が床に流れて運転席の方に行った

2023奈良美智『Midnight Tears』

おおくのモノコトがこの背中に確実にへばりついてゐる。

 

摩天楼に玻璃がきらきらする

玻璃が破れて風車のやうに散ってゆく

戦争のあとは一体誰が片付けるんだろうと、ふと思った

 

前から四つ目の席に辛うじて座ってゐる

急にアナウンスが「新宿です。お降りの方は」と

隣の年寄りなのにわたしどもを急かす

 

倉石智證