あれはわらしべ

あれはコロボックル

みんな秘密めかしてしらばっくれて

草の蔓とか

あけびの色だとかに溶け込んで

草の実がポンポン撥ねて

お山の入口でそれだから一緒に行かないかと云はれたが

それははっきり拒んだ

それでも水の色がコバルトブルーになればなるほど

ふる里に帰りたい気持ちばかりがいっぱいになって

ああ、Kくんか、とか手を取り合い手を握り合って

水の下の魚や

空を行く雲やなんかに相談事がいっぱいあって

みんな黙っているんだもん

いっぱいいっぱいが身裡に溢れて来る

出掛けていって

山のことなんか川のことなんかも

いっそ尋ねたいもんだが

一声かけるが約束事にはならず

未完のものばかりがずらっと並んでいた

しかし、ニュースで云はれたよ

水にはそもそも色なんかないんだって

がっかりしちゃう

 

倉石智證