口を開けて大きく宙を吸い込む

波のやうに水平に心の裡が収まればいいのだが

1843ターナー「光と色彩―大洪水の翌朝―」

大洪水“ノア”の後戻って来た太陽

 

まろい、太陽のまろい

或る人は黄色い色だと

或る人たちは赤い色だと

崇め、讃え、うやうやしく

拝跪するだけでは

とても真意のほどまでには届かない

まるで黄色い眠たさ

 

創世記では───

まろい、そこに消し炭のやうに入り込んだ人達には

とてもぢゃないが

そこから先は語れない

神々の願い

或る人はLoveリンゴのやうだと云ひ

円環の馴染みの耀きに

その中に入れよ

日輪に飛び込む

ああ、それこそが最後の希望だ

 

なにしろ人が死に過ぎなんだ

早すぎるけれれどいい死に方だったと(マコト)は云ふが

何億劫の“離れ”が在ろうとも

“さッと”移動できること

もう彼なんかはあっちに往って

ほんたうに軽やかに笑ってゐる

 

倉石智證