どんな育て方をしたのか知らんけれどこんなとこで
死んだふりして
陽だまりにしろくだんまりだね
箱の中に手を入れ足を入れ
どうしたらぼくがここからあそこに行けるのか考える
なにしろ蹲っているだけで気持ちいいから
なんにもしたくなくなる気持ちがよくわかるよ
景色を素通りする
逸れ猫ぢゃああるまいし
よくそんな場所を見つけたものだ
気持ちがいいとか悪いとか紙一重なんだね
挨拶に来てドアを開ける
そこに風死して陽だまりが蹲ってゐる
もう逃れられやうもなく奥へと
奥へと部屋部屋へと導かれる
手をすり足をすり
ただ白い日中に運命が頭上に落ちて来るのを待っている
1922~23村山知義「サディスティッシュな空間」
1922 ベルリンへ留学(21歳)
気分はいかがかなものかな
どんな育て方をしたのか知らんけれど
親子で
無邪気に
背を並べて
きっと見放されないやうに
教育って大事だね
倉石智證