ウクライナ停戦について《私案》
久しぶりにネベンジャ氏をTVで見た。ぼくは国連は現行のロシアの振舞を見てもそうだが、過去あらゆる紛争においてやたらその拒否権の行使など掲げ、世界平和のためには逆方向のモーメントを起こすばかりで混乱を引き起こし、解決をもたらさない国連こそが諸悪の根源だと思ってゐる。だけど久しぶりにネベンジャ氏を見ていて、彼はゼレンスキーさんの演説の時はスマホばかりをいじくっていてほとんど顔を上げないのだが、ぼくは結構彼はシャイでいい人なんかじゃないかと思ってみたりした。(2023,2月)世界の現国連加盟国は193カ国になる。
2003年2月14日国連安保理でアメリカの対イラク開戦に反対した当時の仏外相ドミニク・ドビルパンの演説。「国連というこの寺院の中、われわれは一つの理想の守護者であり、一つの良心の守護者でもあります。重い責任と大きな名誉を持つわれわれは、平和裏の武装解除を優先しなければなりません。(香苗さんより借用)
国連大使はあそこにいるばかりじゃないよね。そこでぼくは考えてみた。ネベンジャさんにひと働きしてもらって、ウクライナの過酷な戦場地バムフトあたりに“命のチェーン”を作ってもらえないかと云ふことだ。彼が云い出しペッする。テントを設営する。食事、寝室、入浴、会議室…ただ出来得る限り簡素に、戦場と戦争状態を体感してもらうためにも、不足をモットーに、お風呂も排せつもままならない兵隊さんに近い設備を造設してもらいたい。不足と恐怖の心落ち着かない状況で、平和の大使たちには冷暖房完備の飴色の会議室から出て、戦場の野原の野営で心底平和について思いを致して欲しいのだ。
“命のチェーン”の目的とは。まさか命のチェーンめがけて鉄砲を撃つことなんかありませんように。そしてその目的とはチェーンがある限りにおいてウクライナ、ロシア共に兵器、装備、兵隊の完全なる撤収である。ロシアはクリミアも含めて自分の国境線の内側と云ふのは当然として、ウクライナはどこまで撤収したら現実的なんだらう。ぼくが仕方がない妥当な線として(結局これもウクライナは騙されることになったのだが)2014,9,5の『ミンスク合意』に遡るのが無難なのではないかと思ふ。東部地域ドネツク、ルガンスクのドンパスラインである。ロシアの振り上げたこぶしをどこに沽券を保たせながら降ろさせるか。これはお互いの撤収ラインのとりあえずの決め事になる。国連監視軍は中国、NATO、インド、サウジなど。さてここまで可能になったら、ご褒美を考えなくてはならない。
ロシアに対してマネー決済スイフトをはじめ、エネルギー、穀物、資本、為替などの現行される制裁のすべてを開放する。ロシアを世界の経済の一部に完全に復帰させるのだ。ドイツ、東欧に向かってエネルギーが流れてゆく。ウクライナの穀物も通常通り黒海から世界に輸出される。なにしろ、サウスアフリカを含め、世界は穀物と、エネルギーに飢えている。これに関しては世界中がもろ手を挙げて賛成してくれるのではないか。第一条件は「停戦」と武器、装備、兵員の「撤収」てある。制裁解除は、停戦と撤収のバーターになる。まずは“経済”から。さてさてここまで可能になったらぼくはネベンジャさんち“命のチェーン”にノーベル平和賞を差し上げてもいいんじゃないかと思ってゐる。バムフトのテントの設営地の後には、あとできっと思い出される“平和記念公園”かなんかに造設されたらいいんじゃないかな。
しかしまだまだ平和への道のりは長い。
国家と云ふものを考えてみたい。カントは『永遠の平和のために』で世界市民社会を考えている。マルクスの共和も原則的には国家の否定である。国家とはある物理的側面では“税”である。税収つまり徴税のために国境が必要になる。尖閣には山羊しか棲まない。祖国とは言語であり、国家とは税収の上に成り立つとしたら、僕に云はせれば尖閣はコモンズにしたらいいんだ。話は横にそれたが例えば国境が接し合う“38度線”はいかにも悲惨だ。やられ放題のウクライナ市民は歯を食いしばってやられ放題のままで、しかし、ロシアに対する憎しみはもうこれ以上にないまでに昂まっている。ぼくが『ミンスク・東部地域』と云ったのはそこである。そこに公平に落ち着かせるためにはどうしたらいいか。もうウクライナ、ロシア双方においてどんな人たちであれ命の損耗は許されない。ぼくは北アイルランドをイメージしてゐる。そして、民主主義において頼らざるを得ない選挙である。まずウクライナ、ロシア全土における投票である。それからクリミア、ドンパス地域における国連監視下での投票である。
23,6,19日経「占領者がわが国土にゐながら交渉を認めるのは、戦争を凍結し苦痛を凍結するものだ」(ゼレンスキー大統領)
2022,9/21(日経)“自身の運命を自身で”───
セルゲイ・ラブロフ露外相は20日、ドネツク、ルハンスク両州の住民投票について、「彼らが自身の運命を自身で決定したがっている証しだ」…
(23,8/7)マリア・ザハロワ報道官は「ウクライナの主権の根本である、中立、非同盟、非核武装の確約は必要となる」ロシア外務省は、ウクライナが「敵対行為とテロ攻撃」をやめ、西側諸国がウクライナへの武器提供を停止するのならば、事態を解決することが可能だと述べた。また、占領しているウクライナの領土割譲も求めた。→と云ふことはまだ自国の領土とは確信してないと云ふことだ。
■「新しい教科書」『ウクライナ東部住民に対する保護と、安全保障上の脅威を取り除くため』(プーチン)メジンスキー大統領補佐官は「教科書は国家の立場を示したものだ」と断言。
クッションとしてロシアに属さない“中立国家の存在”。
かつ“38度線”のような物理的国境を作らないためには。
ウクライナはこのまま戦争を続けるか、
イメージとして自由な北アイルランドのような国家の造出を許可するかを国民投票する。
ロシアは完全にロシア領ではない中立国の出現を認めるかどうかの国民投票。
ロシアは軍事施設を完全に撤去しなければならない。
例えば「クリミア国」「ドンバス国」の二つの中立国。
ウクライナにも属さないと云うことでロシアも手を上げやすくなるのではないか。
国家の尊厳に関してはロシアの戦争犯罪について国際裁判がひつようになる。
最期に復興、最低でも地雷除去などの原状復帰。
倉石智證