ぺらいぺらい薄っぺらい

風に吹かれれば吹かれるままに

海の中ではタツノオトシゴ

あゝ、風も潮も、前から入って腹から

心細くも背中に抜けて行くようだ

 

2020仁添まりな「百年越しの彼誰」

 

どうしていつから私はこんなに

ぺらいぺらい薄っぺらい

石山の石より白し秋の風

あゝ、薄情な頼りなく

門を右へと早稲田の先に

どどーんどどーんと荒磯海(ありそうみ)

捨身無常と坊さんの

言葉は浜のさざれ石

 

薄桃色の貝の雫を拾ってね

あなたにどうしてもあげようと思ったら

乙姫様、仕合わせは誰かに願ったりしてはいけないのよね

タイやヒラメの舞い踊り

いえ、たうたう太刀魚に嫌われましてね

浜辺に打ち上げられて何十年かぶりに

 

ぺらいぺらい薄っぺらい

あごひげ伝説───

浦島太郎は思いっきりおじいさんになってしまいましたとサ

 

倉石智證