ウォーターと云ったら冷たく流れるものだった

でもそんなことは誰一人として知らなかった

梅干し、と云ったらもうそこでやめて書かなければよかった。

たちまち口中に唾が湧いて来る

セミの抜け殻があった

「あんた誰 ? 」と激しく連呼する声が聞こえる

あなたは誰になるんでせう

それからは七年越しになると云ふことだった

地面に落ちたら震えて

それから蟻に喰はれる

蝉はじっとしてゐる

 

蝉の“記号接地”詩の身体性。

蝉も蟻も蝶々も記号のやうで、だから敢えて書かないと云ふこと。

記号が一斉に鳴き出す。

記号が一列縦隊する。

蝶々はジグザグに空を飛んでゆく。

人間すらもたとへば片仮名の「イ」のやうに佇ち止まる。

 

倉石智證