/高谷池の三角屋根の懐かしき色とりどりにテントの汀

/鶯のここぞとばかり鳴き渡る雲が湧き立つ木道の先

/戯れる蜂となりたや高処池塘囲りは花盛りなり

花の時節にも雄時、雌時とのありや。

山径を行き、岩塊を攀じ登り、木道をとぼとぼと歩く。

わたしと目が合った花が花には違いない。

多くの花々がまだまだ私の埒外に在って、

清らに健気にさり気なく咲いてゐる。

わたしが珍しくその花を得た時、

その花はわたしにとってほんたうに宝物のやうになって、

わたしのカメラの中で一生の秘密めいたものになる。

わたしがそれらの花々をもって平地に戻って来ても、

誰かに話してもせんなきことなので、

わたくしの中ではただ黙っているが、

どうしても花々たちには、

「どうもありがとう」

と云ひたくなるんだ。

 

倉石智證

2021,7/20火打山、妙高