そんな風にしてアゲハ蝶が何度も何度もやって来るのです
山の端に雲は白く
家の軒居はたちまち乾いてゆく
何度も光や風を躱しつつ
最初掘り抜きの水の方にふうはりと来る
畑や庭のあちこちあらぬところからふと現れて
いつの間にか背後に
かと思ふと大きく甍を越えていって
何の迷いもなく正門から入って来るのです
あらゆる方位を喪うことなく
暗い影から舞い出て来て過たず
山椒の緑の葉っぱに泊まって翅をゆっくりと羽ばたかせ
二三日もすれば
気が付けばイモムーがむしゃむしゃと
葉を食べ始めているのでしょう
午後の日盛りは
ためらはず盛んになっていって
倉石智證



