さうかもしれないと

大人になったら分かるのかもしれない

とか子供の方が知ってゐるのかもしれない

と海辺のカフカ

呵呵斑呵呵が砂に埋もれて

波間が洗う

半身が月に照らされて

(2023,1,21朝日新聞)「まあたらしい一日」いしいしんじ(文)tupera tupera(絵)

答えなんかあるわけもない「わからなさ」をぴょんと飛び越え抱きしめられる。

 

さうかもしれないとか

鯨が迷子になったのだ

優しい声は大人たちがかけて

子供たちはしずかに歌ふ

親子であってよかったね

でも大人になったらもう手を繋げない

 

鯨にだってみんな一人で出かけるんだよ

子供たちにだっていろんな色を身に着けて

真実を探しにゆくのさ

 

しまった。

鯨は湾に閉じられた。

しくしくしく、

しくしくしく。

 

倉石智證