少しばかり読んで
少しばかり書いて
ほんのちょっぴり考えて
後はたいてい地べたにゐる
草を毟ったりひん抜いたり
屈んだまま喋ったり
ずいぶん長いこと黙り込んだり
蟻の行列
木に寄りかかったりしてゐる
青い空があればいいんだが
雨の日はしゃうがない
水がまた土に沁み込んでゆくのを待って
急に陽が当たると
相談もなく種子が芽吹いて
そんな風にして夫婦の会話が始まったりして
長いこと時間が経つが
退屈なんかしたことは無い
丸メガネのHさんも
純情純真で鉱物のやうに冷えた情熱の人も
「下の畑にゐます」
とメモをして
そんな風にして風景の中にゐて
或る時はとうとうくたびれて
持ち出した椅子に腰かけて
日に透明になって眠ってゐる
収穫を過ぎた葡萄の大樹。もう安堵、しかない。
あのおっちゃんも、
あの師父にも、
枯草たちは無量劫に種子を撒き散らしてゆくが、
それはくすくす笑ひ、時との途切れることもない悪戯
どうも「庭仕事の愉しみ」
と云ふらしい
倉石智證
ひと昔前には───
瀬戸物皿売りや、門ヅケや、いろいろな物売りや、
紙芝居、ポン菓子“ドッカン”もこの季節の里の風物詩になる。
柿がますます色付いて来る。






