/赤のママ烈しい怒り重治のそんな昔の在りしものかは

/飛蝗飛ぶ怒りの葡萄と云ふことに

寒暖の差、長雨。葡萄に色が落ちてこない…。

/長雨や金木犀の悉く

/地衣汚す金木犀の黄金てふ

/人影や紫陽花塀の外に出る

/式部の実むらさき重し遅き秋

/ユリの莢さて来年と秘密めく

/毎日の鳩、鵯、雀、秋の実や

/芋、栗に豆待ち遠し月夜かな

/刈り払いのすぐその隣アワダチソウ

/ひまわりのほがらほがらや年金日

/秋明菊秋明易すの白さかな

これは遅れて咲いた君が代闌。

/掃除機や秋の虫など追い出して

/リハビリや母娘で唄ふものがなし

歩行器の音、床を鳴らして

/もの喰へばウンチの大臣おとどばーさんのトイレ忙し妻に昼夜

/キンエノコロ、狗尾草の出世して

 

倉石智證

「歌」(中野重治)

お前は歌ふな

お前は赤まゝの花やとんぼの羽根を歌ふな

風のさゝやきや女の髪の毛の匂ひを歌ふな

すべてのひよわなもの

すべてのうそうそとしたもの

すべての物憂げなものを撥(はじ)き去れ

すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ

もつぱら正直のところを

腹の足しになるところを

胸先を突き上げて来るぎりぎりのところを歌へ

たゝかれることによつて弾ねかへる歌を

恥辱の底から勇気をくみ来る歌を

それらの歌々を

咽喉(のど)をふくらまして厳しい韻律に歌ひ上げよ

それらの歌々を

行く行く人々の胸廓にたゝきこめ

 

■プロレタリア文芸、マルクス主義芸術研究会

1925「治安維持法」

1925東大では深田久弥なども文学仲間

1931年に日本共産党に入ったが、検挙され1934年に転向する。

1933共産党大弾圧(小林多喜二)

1935「中野重治詩集」

1941「齋藤茂吉ノオト」