/葦簀よしず懸け水かけてみる暑さかな

/ベリーAに色落ちてくる天からの風の頒わけまへ甘く成りゆく

/小さき日々竈に煤け悲しかり水汲みにゆく遠き井戸まで

/うち水や下駄の音にも神楽坂

/頻尿や夜を手探る厠まで

/厚切りの茄子ねーさんのお焼きかな

/片陰やひょいと出でたる黒揚羽

/藤の莢軒争ひて剪られけり

/百合の花苞ふくらませ待つ朝

/魚沼に熊出て届くコシヒカリ

/石蕗の葉のひとり夜ごとの育ちぶり

/意を決してばばはリハビリ周回の意気の続かずまたも定位置

デイサービス「行ってらっしゃい」

「お帰りや~」

(好きな定位置)あ~くたびれた。

/節季過ぎゆくに芋の葉の露の

/植栽の躑躅アートに松が枝

/南瓜は南に西瓜は西に───

西、南、西瓜南瓜のはっきよい

/三年ぶりの夜や市川の遠花火

/灯籠の岸辺離るゝ元安川死者の魂のせて黙もだする

/球児らの顔陽に灼けてたくましく学徒の兵の顔重なりつ

「最高の夏にすることを誓います」選手宣誓、横浜玉城陽希選手

/うな肝を喰へば元気の出でやせむあつしあつしと門門のこゑ

 

倉石智證