/棚下をゆけば花粉の髪に梳く葡萄の房の花の候なれ

/翠風トマス・アクィナスの船団

/急かさるゝ葡萄棚下房づくり

/発育や葡萄棚下エアロゾル

/草曳けばやぶ蚊喜ぶ夕間暮れ

/毛蕊花もうずいか日に二、三度も通いつめ

/ばーさんの口癖「それでどーするでー」

 椅子にかたまり妻の指示待つ

/さつま芋畝に名を呼ぶ元気無し

「紅はるか」は元気無し。「紅あずま」は勁い。

/水遣りや足音聞いて葉喰ひ虫

/薊、薊なんでおまへは頑なに

/初ピーマン妻と分け合ふ青臭く

/脇芽掻くトマトをけふは二本立て

/絹さやにご苦労様と畝を解き

/冷麺のご馳走となる夏日かな

/露草や晴れのち曇りのち雨に

/露草の予報通りに花を閉じ

/柿の実の衣脱ぎ捨て柿翠

/南天を見っけ鳥の実生かな

/色を為す林檎であるかもしれないとは

/藤棚の莢の風待つこころかな

/タコ脚の大根だいこよろこぶば様かな

/紫陽花や一輪挿して秘密めく

/ネット張るすぐにしがむるゴーヤかな

 

倉石智證