/鮭届く恙無つつがなきやと唇開けて

/鮭届く由一はとほくなりにけり

/電線に椋鳥ムクうるさくてデイの日や

/ギャーギャーのうるさしディや門送る

朝、家を8時半に。夕刻5時近くに送られてくる。

「ここはどこ」と自分の家が分からないでゐる。

/出でまして帰り来る夕 ば様の一ト日の永さ「あゝ、家がいい」

/見当識我が家の灯り君が代闌

/露残る霜ではなくて松が枝

/晩菊の末黒なりゆく門柱に

/硬焼きそば折りて外気のうらめしや

義兄たちはスモモの剪定に入る。重ね着をしても外気はうすら寒い。

/手袋を拾いに村の道なりや

/芋の仔や緊急避難霜の夜

/霜の夜や芋ん仔眠まる部屋の隅

/焼き芋の湯気一本の希望めく

/明けてみてすでに暮色や初しぐれ

/初しぐれしぐれて家の温かさ

/下校子にぬるく暮れゆく初しぐれ

/剪定師鋏の音に任せきる

 

倉石智證