/ガラス障子を打ち破ったりば様の二度ボゴになる須臾しゅゆの間に

夜の深更に大きな物音が階下で、

すわッネズミかと思ったがそのまま夢の中へ。

朝起きてば様を起こしに行って吃驚。

障子が桟ごと破れ、ガラスが砕けて縁先に散らばってゐる。

どうやら夜中にば様は用足しに行こうとして転倒したらしい。

暗がりの中で何かにつかまろうとして思わず障子に摑まったのかな。

車を飛ばしてカインズまで木工ボンドを買いに行きました。

妻は9時に開店と云ってましたが、実際は9時半の開店。

気の利いた店員さんが招じ入れてくださったので

ボンドを買うことが出来ました。

まあ、家に帰ってからの障子の桟の直しが大変。

散らばった桟をまずパズルのごとく組み合わせなければなりません。

ああこうしているうちに私の指もボンドでべたべた。

ば様はベッドの端に腰かけて我関せずと僕らの作業を見ている。

イラっと来るかか様(笑)。

自分がしたのだとはさっぱり覚えていないのでありました。

生は死のうちに、死は生の内に。

認知症はそんなことをすっかり根底から忘れさせてくれる。

周りは振り回されるけれど、本人には至っていいことなのかな。

春風駘蕩としてゐる。

介護はいよいよ核心へと入ってゆくのです。

/傾眠は仕事となりてば様の歩け歩こう聞かずなりけり

/貼り換えて妻やれやれとため息す小春障子のあたゝかきかな

/しごきたる松の下葉をくまんざれごしたきことの起承転結

/何事も無きがのごとく畑に出て小松菜春菊心和ます

/お湯割りにころ柿がよしとろ~りと我も蕩けて妻に叱らる

/月待てば千々に心の落ち付かぬ月の菟の杵を持ち換ふ

/みな人の空見たことか月を待つご機嫌如何が雲隠りなむ

前日。

プロムナード。

 

倉石智證