/掘り抜きに柿の葉泛ぶ水鏡

/残り柿私の名前名付け置く

/トマト、ナス皮厚くなる畑仕舞ひ

/故郷の山を紅葉の駆け下り

/宅配やお焼きリンゴや秋の声

信州中野の姉のまこちゃんからお焼きとリンゴが届く。

/ズワイガニ糶せりに応える腕上げて

/アオキの実蒼きがままに活けられて

/アオキの実活けられにけり蒼きまゝ

/色鳥来せはしきものに洗濯場

/菊盛ん放恣となるも裾模様

/紫と黄と活けにけり厠かな

/捨案山子やれ眼差しの捨てやらず

/しばらくは葡萄紅葉を朝湿り

/あぢさゐの花は骸と仕舞ひけり

/底厚き眼鏡の人の死にたまふ黒塗りの車列続きをりけり

(81歳。合掌)

/小春日や鵙過ぎてゆく玻璃一瞬

陽気に任せて寝てばっかりとなる。

/ばーさんの縁先にある迷ひ径ガラス障子に小春日続く

/ばーさんの眼差しの先秋の声

 

倉石智證