/茄子午の佳きかなお盆御座れかな

/苧殻おがら焚くお盆御座れの昏さかな

/迎え火や足元ばかり彼は誰そ

/墓石の陰に影ゆく彼はたれそ

/灯篭に塔婆寄り添ふお盆かな

/姻族の寄り集まってお盆かな昼からビール夏は天ぷら

/帰省子のまゝならぬかのコロナかな

/百合の花墓の陰から盆御座れ

/サンモニも秋の気配や薄の穂

(サンデーモーニングの活花)

/入れ歯無し葡萄の粒のちゅるるるる

/水没す武雄の田圃丘の湯屋

(お泊りした宿は丘の上)

/降り続くバケツに返す泪雨敗戦記念日家も車も

(岡谷ではご家族3人。心肺停止。)

/実山椒煮て終戦の日を知りぬ

/無言館出て蝉時雨蝉時雨

(TVで「無言館」をやってゐる。二十年以上の前に妻と二人で。)

/白鷺の番 白雨の田圃かな

/通り過ぐむなぎ召せませ梅雨の夏

/鼻の奥ツンツンして来 黙祷す五十九年我も齢古る

/お前はどう生きてきたんだと終戦忌

/流さずになりにけるかな茄子の牛

(もう川に流すのは禁止された。)

/茄子午の帰る処の川も無し

/百日紅けふを境の紅さかな

/長雨やトマトの次と爆裂す

/門柱に火を焚きしゃがみ手を合わすお盆帰れと門を出てゆく

/ばーさんも框で拝む盆帰れ

/傾眠や場所も形も構いなく

/盆過ぎて柿の色づく朝かな

 

倉石智證