雲もくもく
さあ、と云はれた
雲もくもく
真っ白に立ち上がる
どうするの、って云はれた
雲もくもく
決められないままに
優柔不断だわねッて
雲もくもく
知らないわよって
右と左に別れてゆく
あの真っ白な雲の向かうにはきっと
鳥が黒い点のやうになって旋回し
さあって、促す
冷たい河原の水に足を踏み入れる
顎門あぎとに汗がしたたり落ちる
世界が蒼穹に静まり返り
大人たちはみんな昼寝時だけれど
ぼくは行くよ
雲はきりきりと真っ白に立ち上がり
鯏うぐいが水流を上流に向かって背をきらめかせて泳いでいった
「どうかね」って聞くと
「ぼちぼちだね」って
黒い影が突っ立ってゐた
倉石智證
