/中梅とばばを連れ出す畑かな

/歌い出す「キツネのだんぶくろをみぃつけた」中梅の色付き初めぬ

/雲の峰いくつ崩れて認知症はい最初からまたやり直し

/十薬の花漬けこんで三日かな

/窓に置く壜から世間覗き見る通るを知らず十薬の花

/トリミングして春菊の若芽待つ

/アスパラに鶏糞の施肥はげましぬ

/初物やキュウリの曲がり気にならず

/「ほうたるの墓」ではトマト畑かな

/頼もしや畝間の蒼きトマトかな

/インゲンの笑まひさやさや莢付けて

/隠元や経誦むばかりのことでなく(隠元和尚さん)

/水遣りの喜雨とは云はぬままなれど

/夏落葉梧桐の葉ごんぎつね

なにしろ葉っぱが落ちてくるのが気になって仕方がない。

「お散歩行って来て」と云ったのにサボって草曳き女。

/ちと見ぬと思へばババの草曳き女

/炬燵上げ老ひ人の家梅雨に入る

/葛の葉の電信柱昇りつめ

/鉛筆の妻の持ち来るばばのメモ「思ひ出せない」もどかしきかな

小姑小鬼ここんちへ来て運命で定まっちゃってるからね。

ははは、おばあちゃん九十四にもなってしょうがない。

口中調味だよ。ごはんばっかり先に食べないの。

お味噌汁は。

何度云っても分からない。何度云っても直さない。

お汁こんなに残ってんじゃん。

やーだよ。順序が分からんじゃん。

しわいしわいしわい。(=強情の山梨弁)

へえそうしかでけんだよ。

放心───

まだ外へ出られるから楽しみだよ。

痛いとこないからね。

家ってこんだよ。

恥さらすわけいかんから、家でめんど見てもらうしかね。

/隠元の花ほろほろと散りぬるを莢に飛び入る緑豆かな

/索麺の手取りて涼し昼餉かな

ばーさんはトイレしくじる。その手で索麺を手どって下さる(笑)。

梅肉は自家製去年のものを。

 

倉石智證