わたくしは自分としてはおもしろかった

わたくしは自分としてはばかばかしかった

ズボンは少し短くてつんつるてんだった

靴と帽子は洒落に気取ってみる

1968麿赤兒「状況劇場」の公演「由比正雪」で丸橋忠弥のメイク

=井出情児氏撮影

 

街をどんどん行って帰ってみる

振り返りさうなものだがのっぺらぼうで

やがて人外交差点に出る

角筈から花園まで

チンドン屋が鉦を打ち鳴らして練り歩く

喇叭の音は物悲しく景気ののよサ

青い青い空が幕を切って落とされて

その線から入っちゃいけないよと

ロクろっ首が闇夜を飛び回る

畳がめくれ上がるとまぎれも無く恐山が

憑かれた老婆が髪振り乱して寺山修司

1968篠山紀信「誕生」シリーズ(19,4,5朝日新聞)

■この年ライトパブリシティーを辞める。

 

人外交差点では短靴にビールを注いで呑んでる奴がゐる

くたびれた絨毯の端にはミラーボールの光が点彩し

恋が眠り呆けたまんま

もう起きなさいよってば朝になるよってば

わたしの人生はちっとも捗捗はかばかしくなかった

わたくしは自分としてはばかばかしかったが

えらい気前がよくって一張羅のズボンは短くてつんつるてん

1955河原温「黒人兵」

 

大酔っ払いしてビルの外へ出ると

厚生年金会館に旭日が赫赫と出て進軍ラッパ

思はず舗石に躓いておっとっと

あー、あんなことがあったりこんなことがあったりして

恥多き人生、しくじりぱっかり

あー、でも

わたくしは自分としてはえらいおもしろかったなぁ

ディグダグディグダグ新宿行けば

わが青春がオイデする

 

倉石智證