草や石の幼いものたちを集めて

いつか自分の庭に棲まはせやうと思ふ

それでもよくよく考えたら草や石や虫たちは

早々と土の下に埋められるのはいやだと云ふ

友達にも会えなくなるし

至極もっともなことだ

 

石は草に話しかけるのだが

どうも聞き取りにくく

草はずいぶんきみたちは遅れているねと

聞く耳も持たない

雨が降ったり風が吹いたりもすることだらう

はなからそんなことさへなくても

ある時が来れば草は枯れてしまうものだ

虫たちは大忙しだ

 

草たちが青いうちは草たちの葉裏の辺りに

でも雨が降ったり草がとうとう枯れて仕舞ったりしたときには

安心して石の下に潜り込む

それでよくよく云い聞かせて土の下に埋めてあげようとしたら

草たちはしくしくと泣き出した

もうお日様と会えなくなるのではないかと

それもしごく最もなことだ

石は結局、ずいぶんなことだがその間ぢゅうシーンとしてゐた

1956野見山暁治「シャルルロワ 赤いボタ山」

戦後パリは“アンフォルメル=不定形”と呼ばれる前衛の時代。

 

あれやこれや・・・

世間のことはやっぱり相変わらず分からないことばかりなので

わたしはと云ふと石の云ひ付けを聞いて水に潜ることにした

ぬるい水の中でわたしはゆっくりと反転する

 

倉石智證