1951駒井哲郎「消えかかる夢」
思慮深い蛇でありたい
おびただしい草でありたい
ときにあなたに違うものでゐたい
空の空虚をくねくねと昇ってゆく
透明な玻璃の壁面の無数の反射のせいで
鳥たちは困惑している
木の下にゐたものがひっそりと枝に絡みついてゐる
油断すれば草むらからは
いまだ風にそよぐ歌が聞こえて来さうだ
地に這うものでゐたい
何かの間違いを冒すとすればそれは自分自身だ
お腹が冷えてたまらない
地に隠れるものでゐたい
そんな時は温かい石の上に身を横たえる
ぼんやりと、私の眼だ
まっすぐと自分の中を
まっすぐに自分を通って
丈高い草が隠してくれるから
もはや自分ではなくあなたを
もう直ぐ、そば近く
獲物を
奔るほどに
倉石智證
