誰しもがみんな訪れを待っている

小さな想ひ

小さなお胸

心の向かうに小さな春の訪れを待っている

木の扉を叩いて訪れてくれる人は

ささやかな報せを運んでくる

雪解が雫れて一筋の流れがきらきらと陽光に輝いて

するともう確かにそこまで来ているのを感じるのだ

 

冷たき水に触れる

水の想ひも

通いなれた道とか

親し気なくつろいだ会話とか

見慣れた字の形などなんとなくなつかしい

そんなものを玄関にさりげなく置いておいてくれる

なんと云ふ慎ましやかさなのでせう

春が来ます

猫柳の綿毛が膨らみ

窓を開け放つ日が

うれしきことに

木の扉を叩いて必ず訪れてくれる人がゐる

 

倉石智證