お帰りなさい

昼に行きあぐねて埃のやうに寄り集まる

昼でなく夜の種族とは何か

昼にあんまりに眩しくて

だからそこに蹲る

動物のように見上げて潤む瞳で待っている

夜の種族は皮膚一枚で

優しく呼吸して

あんたがそこにゐてくれるならと

袖に衣がずれ落ちる

1949鶴岡政男「夜の群像」。戦時───あらゆる抑圧状態。

 

名前無き名無きモノたちが蠢く

下水道の方から立ち上るのだ

なにか上げたらいいのにと

でもだれも許さない

しらじらと通り過ぎて

不在を濡れた通りに投げ出す

なんにしても冷たいんだね

また知らんふりして横顔が

 

都市をぐるぐる回る人たちもいつかは疲れ

一つのカウンターにたどり着く

ようやく一杯を注文し

ストゥールに座ったまま寄り掛かった壁に溶けてゆく

いっそもぐりこむ

指名されたばっかりだから

明け方、白みかけた都市のマンホールの格子から

震える指を出して信号する

あれらは温かな夜の種族の

あなた方だったんだね

 

倉石智證