吊るし柿が物干しに熟成してくるころ

梧桐あをぎりの葉っぱが黄に色づいて

風が無くても庭先に葉が落ちて来る

ば様は梧桐の葉が落ち来るたびにおろおろとため息を吐

梧桐の枝奥しおうには鳩の塒ねぐらがあって

鳩の育ち盛りの子供たちが

ぼくが手入れする松の高さまで遊びにやって来る

なんと云ふまだ無邪気な眸眸めめをしているんでせう

ぼくがずっと手仕事を休まないのをいいことに

近くの枝に来て留まり脚を畳んで羽を休める

取りとめのない一方的な会話が始まるのだった

 

おかあさんは食事の支度に出かけたんだよね

やっぱりさみしいよね

電線近くに鴉がカアと鳴いた

ここに変なおっちゃんとゐれば大丈夫なん、と

おかーさんが云ったんだね

ヒトのやうに温かなものなど食べたためしがない

虫のギザギザやぬるぬる

それを旨いと感じ

染み出る体液の冷たさにはいつから馴れたんだらう

夜の塒できみんちのおかーさんは何を話してくれるのかな

だいたい片時いへども安全保障はあるのだらうか

そもそも翼を止めたら地に墜ちて来る

ぼくが剪定鋏を音高くたてると

まだ獰猛な禽類ではない君たちのつぶらな瞳がかえって来る

ほうら、おかーさんが帰って来た

するともうきみたちはすぐに

松の枝下から梧桐の木へと飛び立った

鳩の巣の迹。

もう少しだ、鳩の一家の巣立ちが近くなる

恨めし気に梧桐の高い樹を見上げるば様のカナツボ眼まなこ

後日の梧桐の枝打ち。

もう葉っぱが散って庭を散らかさないのでば様はとっても満足する(笑)。

 

倉石智證