アンジュ恋しやほーやれほーと

秋はさみしいことはさみしいのだ

かか様の庭辺に出でて

ほら空を打つ

空の奈辺の水鏡に

雲が行く過ぎ去りし日々の

戻りしを二度と再び帰り来ない

若かりし日の、健やかなる日々の

子を生すことのはるか前の初々しきを

そを懐かしんで

今は老ひたるわが身を

ほーい、ほーやれと恋しや

心細くも庭辺に佇ちて

か弱き腕かいなを空に翳し

ほーやれと水鏡に

はかなく雪虫の松の葉叢の水際に上下する

秋の日の小春日に

下下げげの国にアンジュ恋しやと

 

倉石智證