夜の訪問者は昼を知らない

こっそりと夢に紛れ込んでくるのかもしれない

いまさら自己紹介を

とせがまれた

ちゃんちゃら可笑しいと天にも昇る心地

 

「気ヲ付ケー」

「廻レ右」

ところが回れ右がよくなかった

すっぽりと地面が抉り取られていた

ぼくは新宿に行き倦あぐ

1956深沢幸雄「めし」

この年、「もはや戦後ではない」と経済白書は締めくくる。

 

ご飯食べたかと聞かれたので

真っ暗になって必死に掻っ込んだ

そして辺りはシーンとする

いよいよ明日は突撃なんだ

腹いっぱいに食べて

眠ることはともかく

夜の闇に乗じて

半分に減ってしまった陣地から

ぱらぱらと黒いシミかゴマ粒のやうになって人間が

真っ暗闇の奈落に落下してゆく

 

倉石智證