/初夏やモロコシの髯つけてみん

/路地ものの茄子キュウリには泥の顔

/伽羅蕗や山の香強き厨辺に

/果樹果物青し青色緑雨みどりあめ

/立ち雲の日は木陰にて空を見ん

/蕨炊き卵でとじて召し上がれ

/冷や麦を手取りてけふの暑さかな

/藤棚の暑苦しほど蔓の延び

/しくじりや厠からまた芋万頭

妻の新じゃがの芋万頭。中にチーズを仕込んだ。

/恥ずかしと云ひつつばばの厠からしくじり忘れ皿を完食

/芍薬の絹の衣を脱ぎにけり

/オオキンケイ暑し暑しと藪の中

/南天の実の赤ければ花白し

/捩花や時計回りのことばかり

/貴陽てふ大事とばかり笠を付け

/ヒロちゃんの畑横切る芋の花

/畑に出て妻思案顔夏の空

/出荷する胡瓜完売由美子さん

/水無月や皐月の花叢紡錘に

/モロヘイヤ草の中にも育ちけり

/厨辺のバジルは出番待つばかり

/インゲンの蔓の先なる夏の空

/初夏へ南瓜の蔓の留まらず

東助先生懐旧───

/飯山やうなぎ屋に吹く皐月風

/なつかしや千曲川風うなぎ召せ

 

倉石智證