/草引き女ばば連れて来ば放棄地に古きともがら懐かしきかな

気分転換にとば様を畑に軽トラで連れて来たら、懐かしき別なばーさんが来て話に弾む。

「最近はだれも会わんようになって」と年寄りが施設にみんな行っちゃったと嘆くともなく。

しかし、家に帰れば、また会って話したこともすっかりすっぽ抜けてゐて・・・

朝づくり=朝食前の農事

/放棄地に除草機回す朝づくり青き中から蛙よ逃げろ

/活着の確かに茎の上向いて頼もしきかなベニアズマはも

/水遣りや西瓜は一番花つけぬ

/写真盗る花撮る道のスタコラサ(盗撮)

/どの家も五月の薔薇のたわゝにて

/樗あふち咲く風に裾濃すそごの大揺れに

/葭伸びてヨシキリの聲仰々し

/棚下に籠りて三時のおやつまで

/義兄さんもくちなはを見し間引き事

/溝浚い草引くカニの横歩き

/水遣りや如雨露のまゝに影が伸び

/力饂飩若布も入れてコロナかな

/「笑点」が始まるてふにセッセッセッ五時からばーさんけふも帰らじ

5時からばーさん”は呼んでも畑から帰って来ない。

夕方近くになると衝迫観念にでも駆られるのだらうか、

雑草を取りに畑に下りる。

「93歳のおばあさーん、もう6時になりますよー」

背戸に出て、妻はわざとご近所に聞こえるやうに呼ばはるが、

ば様は馬耳東風と、せっせっせっ。

山梨弁でかう云ふのを「しわい」とも云ふのださうな。

 

倉石智證