勘弁してください
エキセントリックな夜を迎え
エキセントリックな朝を迎えた
昼は夜のために丁寧にとっておいた
仮面をつけるのは決まって夜だ
日が翳るころ人知れず窓辺に倚って
けふの日のことを思ふ
なんとなく悔しいぢゃありませんか
わたしはわたしのことをどうしても忘れたい
さうやって夜のこっちにダイブする
クリヨウジ「愛していたのに」
夜の顔がこんなにあるなんて知りませんでした
きっと昼間はこつこつと質素に気真面目に過ごしているので
夜のマスクがこんなに増えてしまうんでせうね
とても素面でなんていられない
飲めば赤くなって般若湯
つい巫山戯て勢い余って
「わたしってカワイイ」
なんて訊ねてしまうのです
しつこい女なんてきっときっと嫌われますね
ねっねっ…
ってもう朝がやって来ます
顔から剥がすと
マスクは急に何かを思い出したかのやうに蒼褪めていって
あゝ、あたしってどうしたって隠し切れない
そんな風にまた昼が来て
すぐに夜になって
そんな風に夜は昼の顔に逆らい
陽気になってみたり突然怒り出してみたり
うつけもの、閑のまのまのただ遊び
みんなどれも人間の顔に違いないけれど
思い余って
…泣き崩れる
倉石智證
