/九十ここのそと三歳みとせの旅路まだ続く

 バレンタインデーのけふのめでたき

/愛ばかりチョコはもらへずValentin's Day

/松の芽や緑立つ日のそろそろに

/在りし日のこと水仙の香思ひ出す

/バス停に春待つ心二、三人

/店先へ独活の産毛も春めけり

/春が出たついうっかりと蕗の薹

/春や春因数分解観覧車

/真っすぐに行けと戀さん水ぬるむ

/夜をこめて都市型感染もの云はぬ知らぬ眸で見るあなたのことを

もう別なフェーズに入ったとのこと

/梅花繽紛ひんぷん花粉症まで連れて来し

/しらしらと霜置き惑わせる七時前有線放送何かを告げる

/囁きやぼやき励まし輝いたおら「月見草」出自貧しく

(20,2,11死去84歳)京丹後市出身。

貧乏とはトラウマになるものだ。

「ひまわりにはなれない」───

屈折、屈託は必ずしも一番にはなれないこともある。

合掌。

 

倉石智證