流れてゆくと云ふことについて申し述べれば
私は今度は便器の前に立ち
或る日小さな小さな星屑がさらさらと洗面所から流れてゆく
風が流れてゆくところでは
ブナの葉っぱがちらちらとちらちらと
いつまでも光の反射を返し
それらはみんな私の思惟だと云ふことになった
1946~47椿貞雄「冬瓜南瓜圖」あることの不思議
抜かりなく抜け目なく
すべてが移り棲んでゆく
お陰で、
手を挙げて横断歩道を渡ろうよと
ふうむ、腕を組んで、ふうむ
こんな田舎では信号にさへも人っ子一人見当たらなくて
むっつりと小さなささやかな時間が流れていった
あと追いかけないでね、と云ふが
星屑は夜の天頂に出て
もう少しだよ
と云うのが信じられなくて
手を洗ふ
不意と星屑が掌に零れ出た
私の思惟が巡り巡ってこんなところに
多くの夜を過ごしついに昼へと
昼の月は中天にかかり
天と地の間に身一つを置く
身につまされる
流れると云ふことで云へば
あなたにも落ち度があった、
だなんて誰が云へるのだらうか
倉石智證
