端的に云って象の鼻のことだ

長いと云ふことだ。

ただそれだけのことだが

それだけでなにかやさしさうではないか。

森深く横切ってゆくとき

象の親子の眼が笑ふ。

1943~46松本竣介「象」

つまり、戦争の最中になる。

 

ネアンデルタールがマンモスの親子を追いかけて行った

だなんて随分と昔のことだ。

「僕が死ねばひとつの直接性が倒れる

と書いたのは吉本隆明だったが」

(多くの把握できないひとつの僕たちが犇めいてゐる)、

サバンナで水牛の親子が襲われた。

「私たちの住むこの世界はは思ったよりずっと小さく閉じていて、

確実にすべてが響きあっている」───

けふは臆面もなくこんなに風に文章を続けてみた。

 

倉石智證