/白菜の霜の衣を脱ぎ捨てゝ

/霜つ瓦ここに嫁いで七十年よくぞ昔は竈かまどの暮らし

/木守柿消へて柿の木静まれり

/黒駒に雪降りかかり青に立ち聳つ峰々の空にけざやか

/冬晴をヘリ掻き回し遠ざかり

/年の瀬や掃除三昧の一日

/橋の上で軽トラ、ジャンプ年の月

/義兄にいさんのスマホで見せる白椿

/李の木梯子の上や農納め

/はしきやし嫗おうな同士の年の暮れ

/ばーさんの散歩よ急げ盆地ではすぐに冷え来る八つの颪の

/極月ごくげつや老人大地蹴り上ぐる

/古き家の北の端から冷えて来て

/鉦鳴らす「火の用心」と過ぎにけり

/成都ではメンツばかりがゆき交ふて握手笑顔もぎこちなきかは

お互いに得るものはなく、前へと進まない。

 

倉石智證