鳥が空を飛んでゆくのは

あれは献身のため

いつかは食べられるためです

魚が水流を泳いでゆくのは見果てぬ夢のため

水の中の眠りは深いのです

少女がいつかは女性になるのは

戀を知るからでしょうか

 

ある日行く先々に壁が出来て

透明な壁がいたるところを取り囲みます

鳥は空から墜ちて街路に

魚は水から上がって地面に跳ねる

多くの勇気が必要となるのです

しかし少しの風が吹いて

傷をやはらげます

少女の長い髪はやさしく

そしてなによりもその微笑みは

とてもみんなの慰めになるでしょう

 

断じて手にしていたものを落とす

そして落とす

そして落とす

 

平和な静寂さが広がって

でもどおして遠くに聞こえる山羊や牛や犬さへの声も

聞き落したのでしょうか

あなたが必要ならわたしは出掛けてゆきます

もどかしく

それを銃弾で返すだなんて

あゝ、なんとも悪い夢だ

 

澄んだ水のせせらぎの音が聞こえてきますよ

蝶々の翅音さへも

緑の庭園に無数の花々が咲き乱れ

それは故郷のやうに懐かしい

家々に人々が戻り

蜜蜂の羽音のやうに団欒にまどろむ

溢れんばかりにすべてが愛おしい

なにかそれがとても悪いコトなんでしょうか

 

倉石智證