西東三鬼

「露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す」

「広島や卵食ふ時口ひらく」

ヒロシマ・・・それは500㍍の上空で。

 

露人ワシコフはどこにゐるんだらう

ご飯食べたか

玉子喰ふとき口開ける

不思議ワシコフのことだ

みなを煙に巻ていてスタコラサ

 

まあ、赤く熟れてきたらそこへ行こうと思っている

はじけるかもしれないと思っている

恥も外聞もないと思ってゐる

烏瓜のぶーらぶら

ゑふもなく傲慢を指摘された

実は本人は含羞の塊だった

身を真っ赤にして壇上に立って

戦争反対と宿題反対を急先鋒に訴えた

 

分かり易いことは大切なんだ

茹で卵をつるんと剥く

ヒロシマや玉子喰ふ時口開ける

ピカドンは一時のことだったけれど

ぶーらぶら

キノコ雲に身は弾けた

とてもぢゃないが我慢できない

図体ばかりでかくて知恵が回らず正直者

顔を真っ赤にしてワシコフは

 

さて身の処し方が分からずになった

ワシコフのやあい、

ワシコフやあい

野面を渡る秋ばかり

烏瓜のぶーらぶら

 

倉石智證