シーアの三日月は砂漠に浮かび

空に出ては来ない

欠伸をするほどの

十一月はまだ優しくて頼りがいがある

感情を推し量ればあながち

海に出てもいいのだらうが

チグリスの畔、そこにも故郷は待ってゐる

(14,12,25日経)ヨルダン軍機「イスラム国」が撃墜か 操縦士拘束

パイロットのモアズ・カサスベはパラシュートでチグリスの畔に落下。

あそこにパラシュートで降りてから以来

私が連れていかれたのは自由な国ではなかった

もうお忘れでしょうが私は監獄で無残にも焼き殺された

女たちは急に手ぶらになる

赤ん坊だけが胸に残されて

気が付けば火が付いたやうに泣き出す

あゝ、自由社会と云ふ物が

手を伸ばせばすぐそこにあったと云ふ

あなたたちはさう喧伝するが

あたたかい気候の下でオレンジを手にする人たちには

永遠に分からない

祈れ、と云ふが

祈りはまた新たな感情の下で圧殺された

 

昼はまったく乾燥した清潔な青い空が村々の上に広がる

まだ純潔は守られ

外からの侵略者は見かけられなかった

ところが真昼間、

何食わぬ顔をしてドアは叩かれ

女たちは赤ん坊の見ているそばで犯され続けた

 

真っ白い帆船のゆく海近く

オリーブの木の茂る地方では当たり前のことなんだらうが

食べると云ふこと、笑ふといふこと、

挨拶をかわし、働きに行くと云ふこと

そんな当たり前のことがここでは一切忘れ去られた

誰かが生きにくいとしたら

それは文字通り人間の権利のことで

それは天から与えられてものではなかったのか

 

私のことで云ったら私が惨殺されたと交換するやうに

一人の質素な、どちらかと云ふと敬虔深さうな女性が

直ちに処刑されたと聞く

よるべない・・・と云ふんだろうね。

頼りない諦めたさみしい表情をしている。

 

シーアの三日月は砂漠に浮かび

空に出ては来ない

欠伸をするほどの毎日が忙しく眼の前を過ぎてゆく

十一月がまだ優しくて頼りがいがあるとしても

例えばあそこではあのベイルートのことで、

それなら美しいベイルートと云ふ約束を果たせ

(事件を参考にフィクションした。)

 

倉石智證

米軍のイラク侵攻の最中、前夫と兄弟3人が殺害され反米感情を抱くようになった。

偽装結婚をしヨルダンに入国、夫とともにテロの実行に加わる。

サジダ・リシャウィさんは自爆テロ未遂犯であるとされる。

イラク西部のアンバール県出身1970生まれ。

ISILは1,29日没までにリシャウィを釈放しなければ、

ヨルダン軍のパイロットであるモアズ・カサスベを殺害すると脅迫した。

当初ISILはパイロットと後藤健二氏の交換を求めた。

ヨルダン政府はこれを拒否、

自国の若い青年パイロットとリシャウィの交換を求める。

モアズ・カサスベ氏は監獄の中で火炙りにされて殺された。

映像でその様子を見たヨルダン当局は、

「イスラム国」から人質と交換に釈放を求められていた

イラク人女性、サジダ・リシャウィ死刑囚の刑を数時間以内にも執行。

2015,2,4───

悲劇の連鎖は止まらない。

イランの砂漠の三日月はレバノンの地中海にまで延び、

トルコは拘束中のISをヨーロッパに送り返すとした。

IS殲滅の地上戦ではクルド人部隊に頼り切っていたアメリカは、

そのクルドを簡単に見捨て、裏切った。

トルコはクルド人地域に進攻、クルドはシリア政府へと奔った。

ISの多くを拘束するクルド人には国家はなく、

従って、国家としての司法権は存在しない。

トランプは責任から逃げ、エルドアンは強権に、プーチン氏は嘯き、

イスラエルはどうやら昨日、パレスチナを空爆したらしい。

 

そもそも中東の不安の弧を作り出したのは主にイギリスとフランスだ。

ペルシャのイランは、アラブのイラクを横切って、シリア、ヨルダン、レバノンまで

その影響力を伸長した。

サウジと対立するイエメンのフーシもイランの支援下にあると云ふ。

安倍晋三の俯瞰外交は何を以って積極的平和、と云っているんだらう。