1910アンリ・ルソー「夢」最後の大作。アポリネールが激賞する。

 

若い濡れた女の子のヴァギナが空を飛んで行くとする

わぁぃわぁい

枯れ色の原っぱがたちまち青い青い色になる

なんて楽しいんだ

 

大切なことはみんな丘を越えてやって来て

まるで甘いお菓子のやうに

爽やかな滴る果実のやうに

そんなものが無数に丘を越えて原っぱに飛んで行く

濃い睫を付けて眼ぱちくり

平和だなぁ

 

王様はたちまちまつり事を忘れて

若いヴァギナを求めて青い空の下を追いかけて行った

呪文であり、祝言である

若い睫をいっぱい付けたヴァギナは

喜びの涙を滴らせ

王様を河向かうへと導いた

さすがの鰐も大口を空いて

ただひたすらに過ぎてゆく無数のものを見送った

ちゃうどそのころ王様は

鰐の背中からもんどり乎と水の中に落ちる

 

若い兵士たちには

不用意に齧られて半身不随になった者もいれば

むろん、倖せの青い鳥になった者もゐる

 

倉石智證