景色はついに通り過ぎてゆくものだから

あなたはそんなさみし色をして

通りのカフェのカウンターからこちらを見てゐる

景色がわたしにも通り過ぎてゆく

二度と帰らないものだから

私の皮膚はざわめき立ち

夜の無数のネオンライトに滲み

私に

まるでトレモロのやうな優しい気分になった

後ろめたさなんかないさ

何千何万と云ふ気持ちがまるで夢遊し

白い朧な光跡を曳いて

行方定めぬ蛍のやうにすれ違った

倉石智證