(11,11/10 日経)
ES細胞から作られた人工下垂体(中央のリング状のもの)と
隣接する視床下部組織(左上)=理化学研究所提供。
理化学研究所の笹井芳樹グループディレクターや須賀英隆研究員、
名古屋大学などは、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から様々なホルモンを
分泌する下垂体の組織を作ることに成功した。
機能不全のマウスに移植して、延命効果も確かめた。
下垂体は脳の視床下部の隣にある内分泌器官。
副腎皮質刺激ホルモンなど生命維持に欠かせない物質を出す。
新技術は新型万能細胞(iPS細胞)にも応用できる見込み。 

 

41 年前のイライザ───
人が月に降り立つ少し前、米国の学者が「人間と会話する機械」を作った。
「南仏の旅のことを覚えてる?」
と問いかければ
「わたしが南仏の旅を忘れたと思う?」
と応じる。
慌てて「ごめん」と言えば、
「あやまらないで」と答える。
会話は流れるように続く。
なにか結論が出るわけではない。
「幸せって何だろう」
「その質問に意味がある?」
「なぜ答えてくれないのさ」 

「たぶんその時が来たら答えるわ」……。
画面に表れては消える言葉の数々。

 

5 億年前カンブリア紀───
光彩陸離とは・・・
この無数の我々を取り巻いている色のとりどりの煌めきのことだろう。
だが人間は自身の存在の確かさの為にそれらを認知し
認識に至らしめているが、
生物一般にとってはそれこそが死活問題で、
例えば子孫存続のための性選択の為の色彩及び色覚であったり
(「魅力的だわ・・・」)、
捕食やあるいは捕食者から逃れるために一生懸命というか、
そのため瞬時に自身の色彩を変えたりもする。

 

生物や植物のその色彩やまたそれぞれが感じる色覚もみな
元素・分子で成り立っている。
神様は宇宙の始まりにおいておそらくは大抵のものは創っておいて、
広大な宇宙の無辺にそれらはそのままほうたらかされて、
そしてそれらの大抵のものは今でもほとんどは眠っているのだ。
ただそれが時たま自身で目覚めるようなことがあったり、
あるいはそそっかしい者がいてちょっとちょっかい出したりして
宇宙の中から飛び出していきなり永遠の定理になったりした。
ゴールドベルク、
ボードレール、
おお、それらはなんという定理なんだらう。

 
神の意志に従へ、と云ふ。
神の定理がそのままにあるからだらうか。
足すこともなく引くこともない
絶対的な定理。 

 

だが定理をいじくり続けていたら突然ある日、
原爆ができた。
色彩及び色覚を獲得した原初のぎりぎり生存の条件から、
眼の中に妖しいただならぬ紫色の色彩を感じる原爆病患者、
一体全体の人類の齟齬 そご 、 

神と我々とのボタンの掛け違いはどこで生まれてしまったのか。
戦争と厄災と争いごとを望んでいるモノはたれだ。
人類の普遍的価値へのさらなる近似値的行進は
まだまだ先へと置いておかれる。

 

端的に云ったら
地球の上には人口がある。
生存する権利があり、
日々は細分化も網羅もできない人それぞれの暮らしで成り立っている。
不幸な現場に生まれた人もいれば、
とんでもない地域に生まれた人もいる。
為替の高い処に家を構えなくてはならない人もいたり、
海水が気が付いたらひたひたと足元に押し寄せてくる国もある。
すべ てを一緒くたにして、 それでは人々に必要なものは何かと云へば、
まったき幸福以外では、
まず食べることと、
居場所が確保され、
そのためには働く場所があって、
生殖し、
気持ちが心から安らぐ塒 ねぐら がある。 

そしてそれらその暮らしこそが必要最低条件として考えられる。
 
「雇用・利子および貨幣の一般理論」 

 

はやく、
とおくへ、
たくさん、
 
イエス様───
契約、
財産権、
利息、

 
ナメクジがカタツムリから独立し、
自分の身を守る殻を最初に捨てたのはざっと 2 億年前。
以来、薄い被膜で覆われたひ弱な体で、
生物の危機を乗り越えてきた。
小惑星の衝突で多くの生物が滅亡した 6500 万年前、
大喰らいの恐竜は頓死、絶滅。
700 万年前に草原に立ちあがったわれらの祖先、
トゥーマイとナメクジの心拍数はほぼ同じになった。

 
おそらくは何十億年という宇宙の旅がまだ続いている。
宇宙から分配された元素群は物理化学的に多くの「相」に分配された。
ホロニックに・・・
足しもせず、
引きもせず、
われわれはただ在るだけ。

 

50 億年前に地球に小惑星が衝突した。
広大な宇宙でそんな事故が起こることは奇跡に近い出来事だが、
だがその奇跡的な事故のおかげで地球の地軸は=23.5 度傾いた。
太陽とのこの絶妙な地軸の傾きのおかげで季節が生まれ、 

この星は命をはぐくむ惑星となった。
そこで生きる動物たちは
命を継続するために必要な行動を淡々とこなしている。
ウィルスや微生物をはじめ、
人類もその多くの成員たちの一部に過ぎない。

 

41 年前のイライザ───
「幸せって何だろう」
「その質問に意味がある?」
「なぜ答えてくれないのさ」
「たぶんその時が来たら答えるわ」……。

 
是諸法空想
不生不滅
不垢不浄
不増不減───
ただ入って、出てゆくだけ。
「神の定理に従え」
割れ鐘のやうな声が頭上に響いた。

 

                                        ナメクジの記事は
                                        (特別編集委員 足立則夫 11,10/29 日経)
                                        を参考にしました。 

 

2018,7/13

『哀喪「3.11」災後物語』(下巻)

倉石智證